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【小説/ショートショート】冬の牢獄

2013.02.06.Wed.14:08
更新することがないので、結構前に即興で書いたショートショートを上げておきます。
全て「」で構成。30分程度の制限時間で書いた三題噺ですが、テーマは忘れました;;
牢屋と年賀はがきと後何かだった気がします……。

読む場合は続きからでどうぞ。

●冬の牢獄

「冬休み、妹と一緒に年賀状を作る約束をした、というか約束自体はいつもしているんだけど、その都度すっぽかしてきた」
「年賀状を出すような友達がいない貴方にとっては、苦痛でしかないものね」
「ああ。でもあいつは、僕の妹のくせに友達がたくさんいるから、手伝うのはとても大変なんだ。しかも友達が君しかいない、その君すら友達かどうか怪しい僕にとって、妹の方に友達が多い、という事実は気に入らない。だからいつも妹とは約束だけしてすっぽかすようにしているんだ」
「何を言っているのか、あまりにも非合理的かつ非論理的でわかりにくいんだけど、貴方に友達がいない理由ははっきりとわかったわ」
「それでいつもいつも約束を破っていたら――そもそも妹も、約束なんかしなければいいと思うんだが、意地かなのか何なのか、僕に年賀状の手伝いをさせようと必死になって来てね。今年になって策をこうじてきた。何をしてきたと思う?」
「さあ? 貴方の妹さんがいくつで、どんな教育の元で成長した子なのかわからないから、なんとも言えないけれど、少なくとも貴方に同調する理由は今のところゼロね」
「妹は僕を牢に入れたんだ」
「貴方の家に牢屋があるの?」
「もちろん普通のマンションにそんなものはない。だが朝起きたら部屋に異変が起こっていた」
「鍵でも掛かっていたの?」
「コタツが置いてあったんだ……」
「ああ」
「いつも居間においてある、家に一台しかないコタツがだよ、この冬場に、部屋にあったら、そりゃ……猫じゃなくても入るだろ」
「一回は入ってみるでしょうね」
「その一回目が命取りだったのさ。永遠に冷めないぬるま湯に浸かっているかのようなまどろみに、身を委ねようとしたそのときだよ。気が遠くなるほど大量の年賀はがきを持った妹が、渾身のどや顔で現れて。もう僕はそこから逃れることが出来なかった。僕はコタツを選んだ……しかも妹がその日に限って食事やみかんを持ってくる! 地獄のような快適さだったよ」
「役割だけ見れば一応看守と囚人かしらね。それで年賀状は手伝ったの?」
「手伝ったさ。手伝わざるを得ない仕組みが、既に確立されていたからね」
「人をコタツから出さずに働かせる仕組みって、かなり限定的だけど結構すごいわね。妹さんはどんな仕掛けをしたの」
「それはもう、恐るべき仕掛けさ」
「勿体つけないで」
「電源が妹の近くにあるんだよ……いつでもそれを『切』に出来る場所に」
「おそろしいわね」

(了)
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